向かいのお兄さん
第54章 好きだから、食え
ピンポーン
ピンポーン
インターホンを押すと、部屋の奥から足音が聞こえてきた
けれどその音は扉の前でピタリと止まり…
たぶん、訪ねてきたのがあたしだったからだろうな…
声だけ
「何?」
と振ってきた
『開けて』
「…」
『お願い、開けて』
「…」
返答はない
それどころか、足音は帰っていきそうにさえなった
ドンッ!!
『開けろバカ!!!』
扉を
思い切り叩いた
『開けないと、お前の秘密を世間にばらまくぞ!!』
ドンッ!!
ドンッ!!
『いいのか!?
生涯恥ずかしい目に遭わすぞ!!』
「秘密なんてないし…」
チェーンは掛けたままだったけれど
直也は扉を開けた