向かいのお兄さん
第54章 好きだから、食え
この時を待ってましたとばかりに、あたしは部屋の中へと押しかけた
「…!?」
まさかの奇襲攻撃に、逃げ腰になる直也の胸倉を掴んで
あたしは直也を壁に追い詰めた
『あたしの気持ちだ馬鹿野郎ぉおー!!』
強引
という二文字しか当てはまらないくらい強引に
あたしはボロカスになったお菓子を、直也の口に突っ込んだ
「っ…!!??」
毒でも突っ込まれたような顔をしながら
キョロキョロとした目であたしの顔を見る直也
あたしはとにかく、直也が口の中の物を喉に通すまで、睨み続けた
「…」
恐る恐る、お菓子を噛んでいく
歪んでいた直也の眉毛は、だんだん水平になっていった