向かいのお兄さん
第57章 共に歩んで
パニックだった
一人でなんとか起き上がろうと悶える女性
その傍らでそれを止めようとする直也
あたしは近くまで寄って
オロオロしているだけ
「美咲、救急車呼べ!!」
『き、きゅー…きゅー…?』
「救急車だよ!!!」
待ってよ、何よそれ、頭こんがらがってわけわかんないよ…
違う、落ちつけあたし、救急車だって、救急車…!
『っ…!』
急いで携帯電話を取り出す
『な、何番だっけ!?』
「119!」
目まぐるしく過ぎて行くこの時間
『す、すいません病院ですか!?
女性がいきなり倒れて…!!』
あっという間に救急車が到着した
白い箱の中に女性は運び込まれ
直也もそこに転がり込むように入った
「美咲も早く乗れよ!!」
『え、あたしも…』
「急げって!!」
直也に急かされるまま、あたしも救急車に乗り込んだ
その中は、まるで戦場だった