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向かいのお兄さん

第57章 共に歩んで





包み込んでくれていた手は


また乱暴にあたしの手を握っていた






でも、さっきよりも力無くて、さっきよりも頼りなくて






『お母さん、きっと大丈夫だから…』





頭から抱きしめると



直也は小さくなってあたしに埋れてきた





背は高いし、年もあたしより上の男の子が




本当に愛おしかった






『きっと大丈夫…』






偶然かな






あたしと、直也のお母さんが出逢えたことって





偶然なのかな







「っ…、…」






直也の手は、もうあたしの手を握ってはいなかった




今はあたしの背中に




しがみついていた






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