向かいのお兄さん
第8章 騙された
『…』
だいぶ意識もハッキリとしてきた
あたし…
またイかされたんだ…
「いやー、それにしてもマジありがとう!!
久しぶりだったし、めちゃくちゃ気持ちよかった」
和樹はポンポンとあたしの頭を叩いた
なんか…褒められてるみたい
「またムラムラしてきたら、させて?」
和樹の上目遣い
ずるい技だ
「初回は無料、次からは一回10万な」
「え、高っ!!」
『何であんたが決めんだ!!』
その後、和樹は先に帰っていった
心からあたしに感謝して…
「…どうだった?」
『何が』
あたしも帰ろうと、かかとに靴を引っ掛ける
「男がイクとこ」
『…』
直也はポケットに手を突っ込んだまま突っ立っている
『…どうだかね』
ガチャッと玄関の扉を開け、あたしはろくにさよならも言わずに外へ出た
そうだな…
直也のイキ顔、見てみたくなった