刑事とJK
第97章 根城の裏で笑う者
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その日はよく晴れていた。
しかしお天道様も、そこまで機嫌が良くなくてもいい。
「あっっっちぃ…」
斉藤はカッターシャツをパタパタと動かしながら、刑事課に入った。
冷房は入り口まで効いているのか、冷気に当てられると汗がすっと引いた。
「よぉーっす斉藤」
前方からさっそく自分を呼ぶ声が聞こえたので、斉藤は眉を寄せながら前を向いた。
「あ?
おう、吉川か」
「何だよその言い方~、全くのんきだなぁお前は」
「はぁ?」
すると吉川は、いきなり斉藤と肩を組んで来た。
「おい…今は汗だくだから…」
「殺人事件だ」
低く小さな声で囁かれ、斉藤の表情は一気に険しさを増す。
「朝っぱらから…」
「ああ、まぁ来いよ」
吉川はそのまま足を進めた。
「そのヤマは、オレに乗っかってんのか?」
「いいや、斉藤だけじゃない。
言うなら…刑事課の人間全員の事件だ」
「…どういう意味だ?」
「まあ急ぐな」
吉川の言葉もあってか、いつもと刑事課内の空気が違って見えた。