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刑事とJK

第97章 根城の裏で笑う者


―――――



カチャン


扉を開けると、二人の刑事が目についた。



一人は壁にもたれていて、もう一人は緊張したように畏まって椅子に座っている。




「おう斉藤、こいつだよ。
こいつが第一発見者の新米刑事」



壁にもたれていた人間は、藤野泰輔という斉藤の同期である。

藤野は椅子に座っている刑事を親指で示した。





「おめぇが第一発見者…ねぇ」




斉藤は机を挟んで、新米刑事の反対側に座った。



新米刑事はさらに肩を持ち上げ、震える声を出した。





「ど、どうも、斉藤刑事!!」




「おう」




「こ、この前はありがとうございましたぁああ!!!」



「は?」



新米は、いきなり机に頭を擦り付けるようにして礼を言ってきた。


斉藤は何のことだかさっぱりだ。




「ぼ、僕が初出勤してきた日、署内の構造がよくわかってなかったところを斉藤刑事には案内してもらいました…!!」




「…したっけか?」




「はい、間違いなく斉藤刑事でした!!
お礼を言いそびれていたので、ずっと機会を窺ってまして…!!」



新米のキラキラとした上目遣いには一瞬嗚咽さえしたが、斉藤は表には出さなかった。





「…案内…記憶ねぇんだけど…」



「ほら、"この廊下の突き当たりにトイレがある"って!!」




「…」




…トイレかよ。







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