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刑事とJK

第97章 根城の裏で笑う者






「―――まぁ、そんな話はどうでもいい。
本題に入らせてもらおうか」




斉藤は、片肘を机に置いて身を乗り出した。



新米刑事はまた肩を強張らせる。



「は、はい!!」




「まずは名前から聞かせてもらっていいか?」




「僕の…ですよね?
えっと…嘉山茂弘っていいます、斉藤刑事!!」




「嘉山、茂弘ね」





嘉山という新米刑事が斉藤に向ける眼差しは、あくまでもキラキラとしている。



まだ若いうちからその才能を買われている存在に、憧れでも抱いているのだろう。





「嘉山、遺体を発見した状況と時間…教えろ」



「はい。
えー…―――」







昨夜の9時を回る頃。


頼まれていた報告書をチェックしてもらうため、嘉山は遠藤がいる部屋へと向かった。



チェックすると言い出したのは遠藤自身であり、嘉山はただそれに従っただけだったそうだ。


しかし…




「声を掛けても、全然返事はないし…
諦めて戻ろうとしたとき、変な音が聞こえたんです」




「変な…音?」




「そうなんです、なんか…"ごとん"って鈍い音がしたんです」





―――それから気になって部屋に入ると、頭から血を流した遠藤が倒れていた―――





「―――それから?」




「それから…怖くなって逃げちゃいました」




「な…」




斉藤は大きく息を吐くと、失望の目で嘉山を見た。





「おめぇなぁ…
新米とはいえ一端の刑事だろ?
状況もしっかり確認しねぇで逃げただと?」




「す…すいません…」




その失望感の中に多少なりとも怒りがちらつき、嘉山は頭を下げることしかできない。






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