刑事とJK
第97章 根城の裏で笑う者
「だからみんなのお尻をチェックしてたんですね」
「まあな」
「それで、収穫はあったんですか?」
「ちょっとはな」
腰に手を当てると、うんと背中を伸ばす。
外はだいぶ暗くなってきたようで、蛍光灯の明かりが一層際立つ。
「お腹…空きましたね」
「おめぇ、昼飯食ってなかったからなぁ」
食っときゃよかったのに
と、斉藤の目が言っていた。
「仕方ねぇ、オレは今日は署内に泊まり込むつもりだけど、おめぇはどうする?」
「え、あ…そうですね…じゃあ僕も…」
しかし嘉山は、少し気になっていたことを話し出した。
「斉藤刑事は…犯人が僕だとは思わないんですか?」
「…あ、忘れった」
「!!!!」
「冗談冗談、ちゃんとその線も考えた上で捜査してるっての」
ニカッと笑った顔を前にすると、文句の一つも言えない。
「でも逆に、オレが犯人だとは思わねぇのか?」
「…それは…中島刑事課室長が捜査に選んだ人なんだから、犯人であるはずが…」
「それは犯人にしかわかんねぇ。
中島さんだって知らねぇんだよ、誰が犯人なのか…」
身内に犯人がいるという確率の高い予想も、結局のところ完璧ではない。
しかしその不明瞭な地図でしか、捜査の道を照らしてくれるものはない。
「捜査の方向が間違ってたなら、必ずどこかでぶち当たる。
けど、その時は引き返せばいい。
もしかしたら、真相への近道を見つけられるかもしれねぇ」
「"真実はいつもひとつ"ですからね!!」
「…それ何かのパクリだろ」