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刑事とJK

第98章 根城の裏で笑う者〜後編〜




「おいどうした!?」



遠くから何人かがバタバタとこちらに駆けてくる音が聞こえた



「だっ…誰かああ!!」



嘉山が死に物狂いで声を上げると、目の前にいた何者かは早足でその場を去って行った











「うわ、真っ暗じゃないか!」

「電気をつけろ!」




途端にパパッと明かりがつく



駆けつけた刑事たちの前には、トイレにへたり込んだ嘉山の姿だけ







「ぷぷっ、おいお前、新米じゃないか。
何をこんなとこに座り込んでるんだ」



一人が嘉山を見て笑い出すと、他の刑事たちも安堵の表情を浮かべた



「いたずらに電気を消されてびびっちまったんだろ」

「ったく、いい歳して臆病なやつだな」





「ちっ…違いますよ!!」




嘉山が立ち上がると、ちょうどそこで斉藤も駆けつけた





「んだよ皆してトイレに溜まりやがって、女子学生か」




「おう斉藤、お前の後輩くんが幽霊にびびって腰抜かしたぞ」

「だから違うんですって…!誰かが…」



とそこで、嘉山は口をつぐんだ





「あれ?お前顔についてるもん…血じゃないか?」


一気に空気が変わる中、嘉山は首を横に振った




「いえ、ちょっと爪で引っ掻いちゃって。
ちょうど尖った部分で…ははは…そこからいたずらに暗くされて、もう踏んだり蹴ったりですよ」




「はぁ何だ、心配させるなぁ若いやつは」




気をつけろよと言い残すと、刑事たちはその場を後にした





斉藤だけは、黙って立ったままだった




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