
刑事とJK
第19章 夏祭り
『さすが斉藤だね、
でもちょっと強引だったんじゃない?』
ゆうひはぬいぐるみを抱えて歩き出した
「あんな軟弱な銃でこんな重いもんが落ちるわけねぇだろ。
詐欺だ詐欺」
『それは言い過ぎだって、
ねー、まさき♪』
「はあ???」
ゆうひはクマを斉藤の前に持ってくると、
クマの手足を動かした
『"おいらの名前はまさきだぞ"』
「おい、やめろよ…んな名前」
『こいつがそう言ってるんだから
しょうがないじゃん』
「ったく…///」
またしばらく歩いていくと、
今度は金魚掬いがあった
『あ、今度はあたしがやる!!
斉藤、まさき持ってて』
ゆうひはまさきを斉藤に渡した
「なんかややこしいから、
やっぱりこいつの名前変えろ」
『なんでよー、あんたは斉藤。
こいつはまさきだよ?』
オレも正貴だ!!!
『よし、いっぱい取っちゃる』
ゆうひが金魚掬いに張り切ってる間、
斉藤はまさきの新しい名前を考えていた
もう、クマで良くね?
いや、そのまま過ぎるか…
熊…熊…熊…
ああもういい!!
お前はジンギスカンだ!!
熊だけどジンギスカンだ!!
『あ、破れた~』
ゆうひの残念そうな声に反応して、様子を見てみた
器の中には一匹のデメキンが
悠々と泳いでいた
「一匹だけかよ」
『しょうがないじゃん、
こいつ取るの苦労したんだから…』
店の人が袋に水を入れ、デメキンも入れて、ゆうひに渡した
「ほら、ジンギスカン」
そして斉藤は、ジンギスカンをゆうひに返した
『は?こいつはまさきだよ』
「いいや、ジンギスカンだ。ジンギス」
『ええ~、熊なのにジンギスカンとか…
じゃあお前がまさきだね』
と、ゆうひはデメキンを嬉しそうに見た
「まさきはやめろよ、頼むから…」
『クマはジンギスカンで、
金魚はまさき。いいじゃん』
その時、小さい男の子がデメキンを見ていることに気がついた
