刑事とJK
第22章 ごめん
『斉藤…、なんでなの…』
もうかれこれ1時間は
扉の前で叫びつづけている
しかし、部屋の中からは斉藤の声すら返って来ない
ゆうひの後ろを通り過ぎる刑事たちは、
みんなその様子を遠目でうかがった
『教えてよ…ねぇ…』
ゆうひの声は
嗄れてしまってほとんど出ない
ゆうひは頭を扉につけたまま、
ズルズルと下に崩れ落ちた
『……さぃとぉ…、どーして…?』
――――――――――――
4時間が経った
「ゆうひは、まだいるか?」
斉藤はシゲに聞いた
シゲは鍵を開け、
ゆっくり扉を開けた
「…いません」
「そうか…」
斉藤は立ち上がって部屋から出ようとした
その時、シゲは斉藤の胸倉を掴んで壁と挟んだ
「一体どういう神経してんすか!?」
「…」
「なんであんな無視したんすか!?
ゆうひちゃん、声が嗄れても
ずっと先輩の名前呼んでたんすよ!?」
シゲは本気でキレていた
「放せよ…」
「僕が納得いきません!!
先輩はゆうひちゃんのこと
好きなんじゃないんすか!?」
その瞬間斉藤が見せた顔に、シゲは思わず手を放した
その斉藤の表情は、
自分の中に押し込んだ感情全てが、
今にも吐き出そうなのを必死に堪えていたものだった
斉藤は部屋を出ていった
「何なんすか…」