刑事とJK
第25章 副担任
次の日
「あれ、今日は斉藤先生いないの?」
「ほんとだ…ショックー」
朝のホームルームが終わってから
みんながざわめき始める
ゆうひとしては、少し安心した
当の斉藤先生はというと、
職員室でゆっくりコーヒーを飲んでいた
斉藤は、今日は聞き込み調査に専念するつもりだ
「おはようございます」
「あ、おはようございます斉藤先生」
授業の入っていない他の教師と雑談をする
「どうですか、この学校は?
もう慣れましたか?」
「生徒もいい子ばっかりっすね、
…あのー、聞きたいことがあるんすけど…」
―――――――――――
疑わしいのは、こいつとこいつ…か…
斉藤は自分のノートに[草壁][湯井]と、
二人の人物名を書いた
今日一日、いろんな人に井淵についての話を聞いた
その内容と、聞いた本人の反応から、
自分なりに怪しい二人を選んだ
草壁は理科全般の教師で、
暗そうなイメージのある男だった
井淵の話をしても大した反応が無く、
いや、反応が無さ過ぎて、斉藤の気に引っ掛かった
湯井は社会の教師で、オシャレな男だった(オレが嫌いなタイプだ)
井淵については、絶賛していた
きれいだ、美しいだ、と
何も教師が犯人だと断言できるわけでもないが
今のところはこの二人があがった
―――――――――――
その日も学校が終わり、
生徒たちが帰ってから、斉藤は音楽室へ行った
「井淵先生」
「あ、斉藤先生…」
井淵は暗い顔をした
「どうかしたんすか?」
「また…私の靴箱に物が入れられていました…」
「どんな?」
井淵はそっと斉藤に見せた
井淵が写ったたくさんの盗撮写真
「…」
「私に一体どうしろと言うんでしょうかね…」
井淵は俯いて苦笑した