刑事とJK
第41章 船上の殺人事件
よく晴れた日のことだった
「よっす」
藤野は笑顔で入って来た
その手の内には、灰色のファイル…
「出た」
斉藤は手に顎を乗せている
「出た、ってお前なー…、
せっかくおいしい話を持って来てやったのに…」
「冗談だ。
で、中身は?」
「今回は…、こんな感じだ」
藤野はファイルを斉藤に手渡し、
斉藤は中身を見た
「…殺人予告?」
「ああ」
斉藤はザッと目を通す
内容はこうだった…
ある大手会社の社長、
江口健夫(エグチ タケオ)のもとに脅迫状が届いた
"来週行われる遊泳船パーティーに出席したら、命はないと思え"
脅迫状にはこう書いてあったそうだ
遊泳船パーティーには日本国内に留まらず、多くの大手企業の社長などが出席するようだ
このパーティーは社長同士が交渉したりもして、
良ければ手を組み、会社の利益向上を成すことが出来る、
そんな絶好の場らしい
よって、江口ももちろん
このパーティーには参加する気でいる
しかし先程の脅迫状により、
不安の色は隠せない…
「だから、護衛しろってか?」
「護衛っていうか、まぁ気休めみたいなもんだろ」
「何か条件は…?」
「斉藤には若社長夫婦ってことで、
船に乗り込んでほしい」
「夫婦?」
「ゆうひちゃんでも連れていけ」
「ばっ…馬鹿か!?
んな危ねぇとこ連れていけるわけねぇだろ!!」
「だって豪華客船だぞ?
俺は旅行気分で真理子と一緒に行くからな」
「おめぇも行くのかよ!!
じゃあオレは行かなくてもいいんじゃねぇか!?」
藤野はキリッと目つきを変えた
「船の中は、ほとんどが顔見知りだ。
そんなところで、俺やお前みたいに
初めて見る顔の社長ひとりがいたら怪しいだろ?
だから、社長役を複数作っとく必要がある…
犯人にバレでもしたら面倒だからな」
「…でもゆうひは…」
「個室で待たせとけばいいだろ。
俺も真理子にはそうしてもらうつもりだ」
「…わかった」
「よし、お前にはお付き役で嘉山に付いてもらう。
いいな?」
「…ああ」
「細かいことは、今から説明する…――――」