刑事とJK
第42章 船上の殺人事件2
「オレは治療室で藤野たちに、拾った銃を見せた。
けど、あの時治療室にいたメンバーは
このことを誰にも言ってねぇ。
つまりだ…
藤野が銃で撃たれたことを知ってんのは、
オレと江口と真理子と藤野、そして撃った犯人本人しかいねぇってことだ」
「た、確かにそうかもしれませんが…
物的証拠が…ないじゃないですか…?」
すると、藤野は犯行に使われた銃を取り出した
「これ、外国製のものだな。
貿易会社のあんたのとこなら、手に入れるのも容易だろう」
「それなら、父さんだって…」
「俺の見たところ、
この銃はサイレントではあるが、発砲に伴う煙は出る。
あんたの服からは煙硝反応が出るんじゃないか?」
藤野はパーティー会場にいたときに、江口の体に赤いレーザーのようなものが当たっていることに気付いたため、
江口を助けることが出来たのだった
「っ…」
神谷は返す言葉も無くなった
「洋平…」
神谷の父親は続けた
「お前が…やったのか…?」
「僕は…やってない、僕はやってないんだ…
犯人は戸松しか…いないじゃないか…」
「純友殺しの時間帯、
つまりオレらがパーティー会場まで社長たちを呼びに行ってる間は、
戸松はオレらとずっと一緒にいた。
だからアリバイがある」
神谷は口を震わせた
「そんな馬鹿なことあるはずがない!!
戸松はダンスが終わってから、外へ出てはいない!!
だからアリバイなんてない!!」
「んじゃあ聞くが、一度も部屋から出ていないはずのあんたが、
何で戸松の行動を知ってんだ?」
「あっ…」
「確かに、戸松がオレらと一緒にいたってのは嘘だ。
けど今、自分で言ったな、
戸松は部屋から出ていないって。
せっかく戸松を犯人に仕立てようと思ったのに、
自分で戸松の無実を証明してどうすんだよ?」
「…」
「神谷…」
戸松は神谷を見た