刑事とJK
第44章 あたしがあなたを好きなんだ
「ゆうひ、離れとけって…」
『やだ、やだやだ…
ケンカなんてやめて…』
ゆうひは抱きしめる力を強める
「お前はいつでも
女に守ってもらわないとダメなんだな」
南は斉藤を見下す
「だから、弥生は死んだんだ…
お前が殺したんだ、斉藤!!」
「…」
「違う!!!」
飛鳥が前に出た
「弥生が死んだのは
斉藤さんのせいじゃない!!」
「そんなわけがない」
「あるよ!!
弥生が死んだのは、仕方ないことだったの!!
斉藤さんは悪くない!!」
南は飛鳥を見た
「何で…弥生はいっつも
斉藤をかばうんだ…?」
その目には涙が溢れていた
その時、斉藤は南の顔面に
容赦なくパンチを入れた
「がはっ!!
お前卑怯な…」
「ケンカに卑怯もクソもねぇよ」
よろけた南に
もう一発食らわせようとした
しかしその瞬間、
飛鳥が斉藤の方を向いて飛び出した
「!!!」
飛鳥に当たるすんでのところで
斉藤は手を止めた
「何してんだ…?」
「斉藤さん…もう殴らないで…」
「…」
南も言葉が出ない
そして飛鳥は南の方へ向き直った
「そうやって、起こってしまったことを
ぐちぐちと人のせいにしてるようだから、
弥生も南さんじゃなくて、斉藤さんを選んだんだよ」
「う、うるさい!!
俺の何がわかるって言うんだ!!
そんな…そんな…
弥生と同じ顔で言うな!!」
「弥生とあたしは別の人間だ!!!!」
「っ…」
「弥生は、あんたを選ばなかった…
でも、あたしは…あたしは…」
南に真剣な目を向けた
「弥生じゃなくて、あたしがあなたを好きなんだ…」