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刑事とJK

第46章 点を結ぶと




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「そんな…感じだよ。
満足してくれたかな?斉藤君」



啓太…いや、岩崎は
にこりと笑って斉藤を見た





「…言ってやれよ」



斉藤は呟いた




「父親だって、言ってやれよ」





岩崎は顔を横に振る





「いいや、言わない」





そして立ち上がった




「僕はねー斉藤君、
田舎に住もうと思うんだ」




「…」





「今までどこかで、
ゆうひに会いたいなと思ってフラフラしてたけど
会ってみると元気そうで良かったよ
大きくなってた…立派に、成長してた…」



岩崎は目を潤ませた




「だから、一人でひっそりと…暮らす決心はついた」




「ゆうひのマンションに寄ったのは、
会いたかったからか?」




「"丹羽"って名前をたまたま見つけたから…
偶然寄ったんだ。
まさかゆうひだとは思ってなかったよ…」




「…そうか」




斉藤は俯いた




「田舎への電車の切符はもう買ってある…
実は、もう明日に出発するんだ…」




そう、だから最後に



ほんとに最後に



もう一度だけゆうひのもとに寄ったんだよ




父親としてではなく、



謎のおじさん、岩崎としてね…





「斉藤君…
ゆうひを、幸せにしてやっておくれな」




「…」





岩崎の顔はどこか清々しかった


しかし、なぜそんな表情をここにきて出来るのか…


斉藤には理解出来なかった













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