テキストサイズ

刑事とJK

第46章 点を結ぶと







『…頭…撫でて…
いい子いい子って…して…』




岩崎はゆっくり手を上げた



しかし、その手は躊躇した





「…そんなの…
はは…情が移っちゃうよ…」





岩崎はフワッとゆうひの頭に手を置いた






…この手の感じ



この手の感じは…
間違いなくお父さん…




まだ覚えてる




ぼんやりだけど…覚えてるよ…



お父さんの、手…







「…ほんと、大きくなったね…」




『お父さんが…小さくなったんだよおぉ…』





岩崎は笑いながら、
頭に置いた手を下ろし



ゆうひの涙を拭ってやった







「母さん似のかわいい顔が…
それじゃ台なしだよ…?」





岩崎は手を下ろした






『…お父…さん…』















「幸せに…おなり…」














岩崎は走り出した






『や、やだ…!!
行かないでよ…お父さん!!
行かないでえええ!!!』




ゆうひが追いかけようとするのを、
斉藤は止めた



『は、離して、離して斉藤…!!
お父さんに…お父さんに会えたんだよ…お父さんに会えたのに…!!
お願いだから離してえ!!!』



「ゆうひ…」












改札口の向こうで、岩崎が振り返った



「ゆうひ!!!」




『っ…』





「お前はここで、たくさんの友達も、
たくさんの大切な人も、
1番大好きな人も出来たんだろ!?」




『お父さ…』






「もう、ここがゆうひの居場所なんだ
ここがゆうひの家なんだ…!!

岩崎啓太は、お前の家には必要ないよ!!」






『…』






「ゆうひ…最後までありがとう
大好きだからね…」






岩崎は階段を駆け降りて行った





『あたしもお父さん大好きだからあああああぁーー!!!!!』










その言葉は、岩崎に届いた





深く深くに響き渡り



自然と涙が流れていることには


気がつかなかった



















ストーリーメニュー

TOPTOPへ