刑事とJK
第50章 魔物
シーザはゆうひの顔を見た
〔Could you wait here?
(ここで待っといてくれる?)〕
『…』
ゆうひは頷いた
ってことは、
村中の男がいないってこと…?
皆を連れて逃げ出すチャンス!!
〔I'll take you and your male friend.
(君と、君の男友達は連れていくけどね)〕
そう言いながら
シーザは南の肩を叩いた
『そんな…』
「マジか…」
もし蛇退治から帰ってきて、
ゆうひが逃げ出していたら
斉藤たちは殺される…
つまり、人質のようなものなんだろう
〔Stand up.(立て)〕
縄を解かれ、
しかし手は縛られたまま、
斉藤は立ち上がった
「斉藤、顔死んでるぞ?」
藤野が斉藤のほっぺを引っ張った
「るせぇよ
で、何かあんのか?」
「蛇退治だとさ
子供が、食われたかもしれないんだと」
「…めちゃめちゃでかくねぇか?」
「俺もそう思ったよ」
〔Be quiet!!(うるさい)〕
「…」
こいつ、うぜぇ
手を縛られたままの斉藤
そしてシゲと藤野と南は、
蛇退治に連れ出された
「…村には女と子供しか残ってねぇのか?」
斉藤は南に尋ねた
「そうみたいだな
昔っからここの人間は、
蛇と敵対してたそうだ」
「へえ…」
ジャングルの中を行列が進む
すると南は、地面に落ちていた白い何かを見つけた
拾い上げてみると、
それは昨日子供が南に渡した
ピーナッツと同じものだった
周りを注意深く見ていくと、
そのピーナッツは一定間隔で
ポツポツと落ちている
「…シーザ、Wait!!(シーザ、待て!!)」
南はシーザに呼びかけ、
列の進行を止めるように言った
〔What?(何だ?)〕
「Look…(見てみろ…)」
南は落ちているピーナッツを
指で辿っていった
〔…!!〕
シーザも、
このピーナッツはいつも息子が持っていたものだと
気付いたのだろう
行列の進行方向を変えさせ、
ピーナッツを目印に進んで行った