刑事とJK
第68章 どうする飛鳥…!!
「飛鳥ー、タオルって…」
南は見た
見なきゃよかった…
と、ここまで思ったのはこれで二度目だ
「…」
その場に立ち尽くす南に先に気づいたのは
清隆だった
「あっ…」
慌てて飛鳥を自分から離した
「…?」
どうして?と、飛鳥は清隆を見た
そしてやっと南が目に入った
「…ぁ…」
言葉にならない音が、口から出た
飛鳥はただ、
心臓を握り潰される思いだった
南の顔は
怒ってもいなければ、悲しんでもいなかった
飛鳥に向けてか、
清隆に向けてか、
それとも自分自身に向けてかわからないが
憐れみの目を向けていた
「南…」
飛鳥が南に向かって足を一歩出すと、
南は顔を先に背けて玄関へ歩いて行った
「ちょっと待って!!」
清隆は南の方へ走った
そして、腕を掴んで南の前に回った
「ごめん、今のは俺が無理に抱きしめたんだ…!!
飛鳥はすっごい拒んでたよ!!」
南が帰ろうとするのを、
清隆は必死に止めた
「…飛鳥の手
あんたの背中に回ってた」
「え…」
これで
二度目だ
好きな女の手が、
自分以外の男の背中を掴むのを見るのは…
「もう…うんざりだ…」
あの固そうな南の顔が、
今にも泣き出しそうなくらい崩れかけていた
清隆はそれでも
話を聞いてくれ
と、南を留めようとしたが
南はゆっくり清隆を退けて
家から出て行った