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刑事とJK

第69章 敵に塩を送る










強い衝撃を、体に感じた



でも


あんまり痛くないや…




トラックって、意外と柔らかいんだな…









なんて馬鹿なことを考えながら、
うっすら目を開けた







「みな…み…」








南は飛鳥の上に覆いかぶさっていた





…トラックに当たったわけじゃ…なかったんだ…






南は地面に手をついて、
その体を起こした



飛鳥も、後ろに手をついて上体を起こした







「南…なんで…」




パンッ





「…」





じんわりと、頬が痛くなってきた



南があたしを






ぶった






「命を粗末にすんな!!!」





そう言ったかと思うと、
南は飛鳥を抱きしめた





「なんでお前はすぐそうやって…死のうとすんだよ…
わけわかんね…」






南は震える手で、
何度も何度も飛鳥の背中をさすった








「南…南…南ぃ…」






飛鳥は



南を抱きしめ返した






その手は温かくて、優しくて…





何よりも南が欲しかったものだった








「好きだ…飛鳥が…
好き…だ…」








「もっと言って…あたしも好き…
南…大好きだからぁ…」














―――何か言いたい


何かあげたい


あなたにたくさんの方法で見せてあげる




もし私が何か言わなければ

すべてに意味がないから




すべてが散ってゆく

だからあなたに花束を渡す機会を
待ってなんていられない


ひとりぼっちの日も


他のどんな日も



何か言いたい


何か見せたい



まだ…




間に合うから…――――















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