刑事とJK
第10章 伝えられない想い
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斉藤は心配した
自分が部屋に戻ってから、
なかなかゆうひが帰って来ない
さっきの非常階段の場所から
出入り口に行こうと思うと、
必ずこの刑事課室の前を通らなければいけないからだ
津森が相手してくれてんのか…?
変なことしてなきゃいいけど…
その時、窓の向こうで、
ゆうひが廊下を通り過ぎるのを見つけた
斉藤は急いで部屋から出た
「ゆうひ!!」
ゆうひは足を止める
「悪い、ごちゃごちゃなって
全然話が聞けなくて…」
『もう何もない…』
「…は?
でも、とりあえず来週の…月曜か、公園来いよ?」
『なんで…あたしなんかと
会ってくれるの?』
ゆうひの声は枯れていた
その背中は
小刻みに震えている
「おい、どうし…」
ゆうひの肩を掴んでこっちに向けると
その目は充血していた
「お前、目真っ赤じゃねぇか!!
まさか泣いて…」
『何でもないよ!!』
ゆうひは斉藤の手を振り払う
「…何があった?」
『何もないって…何回言ったらわかんのよ
あと、あたしやっぱり公園には行かない。
だからあんたも来なくていいよ』
「はぁ?お前から言ってきたんじゃねぇか…
今さら…っておい!!」
ゆうひは走って行った
「バカ!!
オレは待ってるからな、お前が来るまで!!
月曜の3時だ!!」
そう聞こえたが、
立ち止まりはしなかった