
願わくば、いつまでもこのままで
第8章 変化
「梶木……」
梶木は悔しそうに拳を握り、唇を噛み締めている。
だがしばらくして力を抜くと
くるっと背を向けカバンを持った。
「帰る」
「えっ、ちょっおい!」
俺の言葉など無視し、スタスタ歩く。
園田も慌ててその後を追い、部屋から出て行った。
…バタン
「なんなんだよ……一体」
「待って、待ってよ梶木!」
園田黙って歩く梶木の手を取り振り向かせた。
そして驚く。
園田は梶木は怒っているだろうと思っていたが、実際の表情はもっと落ち着いていた。
「なんだよ園田」
「な、なにって……」
「今考えているんだから、邪魔しないでくれ」
梶木は園田の手を振り払い、また歩き出した。
園田もその横に並ぶ。
「考えているって、何を?」
聞いてみたものの、集中しているのか梶木にその言葉は届かない。
「…もっと早くそうしていれば……」
「ねえっ梶木ったら!」
苛つく園田へ梶木は向き
やる気に満ちた顔で園田の肩に手を置いた。
「園田。2人でストーカーを捕まえるぞ」
「……え?」
