All Arounder
第12章 That's Theft
「ただいま」
『お邪魔します』
家に着き、二人は中に入った
「お帰りっ、あ、姫ちゃんいらっしゃい」
ゆうひは相変わらず明るい笑顔で迎えてくれた
『何日もすいません』
姫が頭を下げると、ゆうひは首を振った
「いいんだよっ、…でも、お家の人が心配しない?」
『えっと…』
「姫の親、海外旅行行ってんだってよ」
大志はそう言った
「あ、そうなんだぁ
じゃあ安心だね。今晩はハンバーグだよ」
ルンルン気分でゆうひはキッチンに向かった
―――――
夕食も入浴も済ませ、ベッドに入った
しかし、なかなか寝付けない
大志は相変わらず床に敷いた毛布にくるまっている
『…』
姫は起き上がって1階に下りて行った
この時、00:30
1階へ下りると、リビングに電気がついていた
何となく気になり、ドアを開くと
ゆうひがソファーに腰掛けて雑誌を読んでいた
姫がいることに気づくと、ニコッと笑った
「姫ちゃん、どうしたの?」
『あ…ちょっと寝付けなくて…』
「慣れない家だからしかたないよね
何か飲む?」
『いえ…大丈夫です。
あの…大志のお母さん…』
「なあに?」
姫はゆうひの隣に座った
『聞きたいことがあるんです…』
「あたしに言えることなら、何でも聞いてね」