All Arounder
第13章 Tear
『大志、ごめんっ、謝るから…!!』
姫は急いで大志の後を追った
階段を駆け降り、玄関まで来たとき
玄関の扉を開けた大志と目があった
『…大志…』
「っせぇよ」
扉が勢いよく閉められると、姫は体中の力が抜けた
あたしは
馬鹿だ…
過去を引っ張ってるのは
あたしだって同じなのに…
姫は下唇を噛んだ
追いかけて…謝りたい…
でもそんなことしたら
また、怒らせてしまう…
「ん?
姫ちゃんじゃねぇか、おはよう」
陽気な声が、後ろから聞こえた
それが斉藤だということはすぐにわかったが
その時の姫に、振り返ってるほどの余裕はなかった
「どうかしたのか?」
『何でも…ないです』
姫は顔を見せず、2階へ上がって行った
「…?」
斉藤は首を傾げながらも、靴を履いて仕事へ向かった