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All Arounder

第13章  Tear






「何もねぇなら、そんな悲しそうな顔すんな」




声も


顔の雰囲気も



大志とそっくりで





『悲しそうな顔なんて…してません…』





自分の目の前にいるのが、大志だと錯覚してしまいそうだ





「溜め込んでちゃ、つらいだけだぞ?」





優しい言葉は



もっとずるい…





『あた…し…』














何年ぶりだろう









頬を



温かいものが伝った












それが涙だと気づいたのは



あたしが、目の前の人に抱き着いてからだった








声を押し殺すと



嗚咽が止まらなかった






本当に久しぶりに流れた涙は



止まろうとはしてくれなかったし



止め方も忘れてしまったし






何より…この人の優しい手が、あたしの背中をさすってくれるせいで


止まらず



余計に泣いた











『…っうぇえん…っふぅ…大志…ごめ、んなさぃ…
ごめんなさ…』




「…」





黙って


ずっと抱きしめてくれるのは…






もっとずるい…







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