All Arounder
第13章 Tear
「落ち着いたか?」
あたしだって
早く泣き止んでしまいたい
でも無理だよ…
今の顔、到底見せられるようなものじゃないもん
『…』
あたしが離れないでいると
さらに抱きしめてくれた
大きな体に
いい匂いに
優しい笑顔…
大志の母親が、羨ましいよ
「大丈夫だ、大丈夫」
あたし
嫌な奴だ…
一体どれだけ人を妬めば気が済むのかな…?
『大志の…お父さん…』
姫はゆっくり体を離した
「ん…?」
『いきなり…ごめんなさい』
抱き着いちゃって…
「気にすんな
姫ちゃんみてぇな若い子にしがみつかれるなんざ、嬉しくてしょうがねぇよ(笑)」
笑って頭を撫でてくれた
『ありがとうございます…///』
「大志はー…、怒りっぽいだろ」
『え?』
「姫ちゃんが泣いてんのも、そのせいじゃねぇか?」
『違っ…あたしが…怒らせたんです
大志は、悪くないんです…』
核心を突かれた気分だった
斉藤の言葉にも、自分の気持ちにも
嘘はない
「オレのせいかなー…」
斉藤は頬を掻きながら、そう呟いた
『な…何でですか…?』
「あいつがキレる時って、大概オレが絡んでるからよ…
今回もそうだと思って」
『へぇ…』
よくわかってる人なんだな…
と、そんなことで感心してしまった