All Arounder
第13章 Tear
これでいいのだろうか…?
肌と唇がくっついたり離れたり
その度に音も、声も、静まったリビングに響いた
『斉藤さん…///』
これで本当に、いいのだろうか…?
あたしが欲しいこの人からの愛情は
こんな形のものなんだろうか…?
斉藤の舌は、首から顎へツツ…と移動し
もうひとつの唇に吸い寄せられる
…何でもいい
あたしが何を求めているのか
わからなくなってきたから…
唇が重なりそうになった瞬間
斉藤は姫から顔を離した
「終わり」
『え…』
斉藤は体を起こし、ついでに姫の体も起こしてやった
『何でやめるんですか…?』
「何でって…そりゃあ理由はたくさんあるけどよ」
軽く服を正すと、斉藤は優しい顔をした
「姫ちゃんは、別にこんなことがしてぇわけじゃねぇだろ?」
『そ、そんなこと…』
…ある
「それにオレには大事な奥さんいるからよ」
『…』
そこは姫にも罪悪感があった
「そんで…姫ちゃんには大志がいんじゃねぇか
あいつと仲良くしといてやってくれよ」
『っ…』
そういう仲なら
あたしだってそうしたい…
でも、あたしと大志は…
これ以上交わっちゃダメなんだもの…
触れすぎると
また大志を怒らせるだけだもの…