All Arounder
第15章 Jealous
「じゃあ決まりっ
よろしくお願いしますぅ」
女子高生は大志の腕にしがみつき、体を寄せてきた
「お、おい」
「何でも屋でしょ?嫌がらないでよねー。
あたしは円香(マドカ)っていうの、お兄さん名前は?」
「…大志」
円香はニコッと笑うと、さらに引っ付いてきた
「大志かぁ、カッコイイ名前だねぇ
今日はよろしくっ」
「…ぉぅ」
つまらなく感じていたのはもちろん井上だった
「…勝手にしとけ!!」
イライラしながら部屋を出て行った
―――――――――
姫がカウンターで、マスターからもらったココアを飲んでいると
井上がズカズカと歩いてきた
「どうした退斗、
依頼人は?」
マスターが尋ねると、井上は顎で部屋の奥を指した
「?」
マスターと姫は同時に振り向く
扉が開くと、大志…と先程の女子高生がくっついて出てきた
『…』
「ちょっ…んなくっつくなよ」
「だってぇ、あたしと大志は今は恋人同士なんだからぁ
これくらい当たり前じゃん?」
その様子を黙って見ていた姫は、大志のそばまで歩いて行った
『何してんの…?』
「へ?」
姫の冷ややかな視線で、胸が痛い
「これは、あれだ、仕事…」
『あっそ』
「ひ…姫…?」
大志は姫の表情を窺った
『じろじろ見んな』
「!!?」
大志は何も言い返せず…
姫はまたカウンターチェアに腰を下ろした
「姫…」
「じゃあ大志、デート行こうよぉ!!」
大志は円香に引っ張られ、外へと出て行った