All Arounder
第15章 Jealous
そんな調子で適当に時間を潰していると、大志と円香が店から出て行くのが見えた
『あ』
「動いたな」
皿に余った料理を平らげ、会計を済ませると
二人は大志たちの後を追った
―――――
「大志ぃ、次どこ行くぅ?」
「どこでも…」
「もうっ」
円香は手を繋いできた
大志は握り返そうとはしなかったが、円香から指まで絡めてきた
「大志の手、大きいね///」
「そりゃどーも」
そのまま、あてもなくウロウロしていた
―――――
『…』
そんな二人を後ろから見ていた姫は、手を握りしめた
その手は何かを探し求め、宙をフラフラとし
それに気づいた井上は、そっと姫の手を握りしめた
『…っ///』
姫は、握られた手から井上の顔へと視線を移動させた
「あいつの代理だ」
『そんなつもりじゃ…』
「いいから」
『…』
姫も今だけは
その手にすがっておくことにした
『井上さ…』
「姫ちゃん」
姫はもう一度井上の顔を見た
井上はただまっすぐ前を見ている
『…何?』
「俺のこと、名前で呼んで…」