All Arounder
第15章 Jealous
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「姫ちゃん」
『…』
「姫ちゃん」
『…』
井上と姫は、大志たちが入った喫茶店の向かい側の店にいた
ついでに言うなら、ファミレスの窓際の席だ
しかし姫は、さっきから窓に額をつけて、大志の様子をじっと見ているだけだ
「姫ちゃん、それ外から見ると多分怖いぞ?」
『…あの二人、何してんの?』
「ん?」
井上が窓の外を見てみると、大志と円香はお互いに"あーん"し合っていた
次に姫の顔を見てみると、恐ろしいほどの無表情
「姫ちゃん…俺らもやってやろーぜ?」
『え?』
姫が振り向いたとほぼ同時に、料理が運ばれてきた
「口、開けてみ
あーん」
井上はポテトを1本つまみ、口を開けた姫の元へ持っていった
ポテトが舌に触れると、姫は加えて口に入れた
少しその食べ方が鈍臭かったが、それが無駄に可愛らしい
「…///
うめーか?」
『うん、おいしい』
「んじゃ、俺にもやって」
姫は同じように、口を開けた井上の元へポテトを運んだ
すると井上は姫の手首を掴み、まずはポテトを食べてしまった
「うめ、…塩ついてんな」
そう言って、姫の指に吸い付いた
『えっ、ちょっ…///』
親指から人差し指を舐め終えると、井上は微笑した
「うまかった、姫ちゃんの指の方が」
『…///』
顔を真っ赤にさせて俯く姫が、
本当に可愛いと思った