All Arounder
第15章 Jealous
「お前はさっきの…円香を、円香をたぶらかした男かぁ…!!」
保井はギリギリと歯ぎしりした
「ゴチャゴチャうっせぇよ、病院行った方がいいんじゃねぇの?」
「円香は渡さないぃいー!!」
カッターを持ち直し、保井は大志に向かって行った
「大志危ない!!」
円香が叫ぶと、大志はそばにあった物差しを手に取った
真っすぐ突っ込んでくるカッターの刃が、体に刺さりそうになった瞬間
大志は物差しを横に振り切り、刃を折った
「あっ…え」
保井は一瞬驚いたが、もう一度チキチキと刃を出すと、大志に向かって行った
しかし、また同じように折られる
「あ…くっ、くそ…くそぉ!!」
何度も何度も同じことを繰り返し、保井の持っていたカッターの刃はとうとうなくなった
「品切れかよ、残念だったな」
大志は物差しを投げ捨てると、他のカッターを探す保井に近づいた
「ま…円香は、円香は俺のものだぁあああ!!!!」
保井は素手で大志に当たりに行った
「うっせぇ」
保井の顔面に、ど正面から大志の拳が入った
「あぶぁっ…!!」
保井は鼻血を流し、その場に倒れた
「束縛強ぇとモテねぇぞ、変態」
大志は保井をそのまま放置し、円香を連れて外へ出た