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All Arounder

第15章  Jealous




『「大志!!?』」



井上と姫は同時に飛び起きた




『「大志、あのお前女自分の人はくらいどこちゃんと行った見とけよなの!!!』」


「おい、同時に喋んな」



大志は二人の肩を叩いてカウンターに座らせた




「で、何だよ?」



大志が姫の方を見て尋ねると、姫はそっぽを向いた



「…何だよ、姫…?」



『何もないもん』



「はあ?
…んじゃ、井上は何だよ?」



今度は井上の方を見たが、井上は真顔で

「何もねーよ」

と答えた


この時のぽっかり開いた口が、人を見下しているように見えて腹が立った




「何だよお前ら、言いたいことあったら言えよな…」



『「ふん』」




「…キレていいか?」



さすがに大志も苛立ってきたようなので、マスターが慌てて話を振った



「そ、そういえば大志、あの依頼人はどうなったんだ?」




「ああ、あれか…もともとの目的は――――」




そう言って、大志が説明しているうちに
姫の顔はゆるんできた


どうやら円香の本来の目的が、自分に付き纏う男を何とかするためだとわかり
納得いったようだ




「―――…まあ、そんな感じだ」



話終えはしたが、井上はまだ不機嫌そうな顔だった



井上の大志に対する不満は、今回の事件とはなんら関係ないからだ




「はいはいそーですか、そりゃご苦労様でしたー」



井上は席を立った



「井上、どこ行くんだよ?」



「帰るんですが、何か?」




井上は吐き捨てるようにそう言い、酒場を出て行った



「…何だよあいつ?」



『…』



姫は、自分が井上に何かしたのではないかと気にかけていたが…

今日のことについては、大志には何も言わなかった



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