All Arounder
第16章 Honest Feelings
すると鉄ジイはじっと井上の顔を見つめた
「な、何だよ気色悪いなー…」
「お前さん…」
「あ?」
鉄ジイは「いや…」と言い、目を逸らした
そのかわりに、こう付け足す
「大志は、何をしとるんだ?」
「あいつなら…今頃女と遊んでら」
「ほぉー、なるほど」
また井上の顔を見つめてくるので、さすがに井上も身を引いた
「さっきから何だよ…?」
「お前さん、さては…
恋しとるな?」
は?
「絶対ねーよ」
「いいや、あるな。しかも相手は大志の女だろう」
鉄ジイは、さっきよりも更に口元を上げた
「て…適当なこと言ってんじゃねーよ!!!」
「適当じゃないわい、図星だろう?」
「ち、違ぇし!!!」
井上は机をバンバンと叩いた
「ホッホッホ、まぁ大志の女だから手を出せないでいるんだな、それか諦めかけているか…」
「大志と姫ちゃんはまだ付き合ってねーよ!!!!」
言い終えて気がついた
俺、何口走ってんだ…?
「姫ちゃんか、ほうほう」
鉄ジイは無精髭を撫でると、ニヤニヤと笑い出す
「う…うっせーな、ちくしょー!!!////」
井上はまるで子供のように、真上を向いて叫んだ