All Arounder
第16章 Honest Feelings
「よし、そんじゃあ試し撃ちしてくれるか?」
鉄ジイは一枚の木の板を持つと、部屋の隅まで移動し、それを高く掲げた
「いつもいつもそーだけどよ、当たっても知らねーぞ?」
井上はガチャッとガーランドを構え、木の板に狙いを定めた
鉄ジイはホッホッホと笑いながら
「お前さんほどの腕の持ち主が、誤ってジジイを撃つとは思わんからな」
と言った
「そうかい」
ドンッ!!
うっすら硝煙が立ち上り、木の板にはど真ん中に穴が空いていた
「ガーランドの調子はどうかな?」
「好調だ」
井上はガーランドを鞄に仕舞った
「そういえば…大志は最近訪ねて来ないなぁ」
鉄ジイは木の板をその場に捨てると、またこっちに戻ってきて椅子に座った
適当に机の上を片付け始める
「…そうだな」
「お前さんも、この時間に来るのは珍しい」
「何でだよ?」
すると鉄ジイは、シワの刻まれた口元をニンマリと持ち上げた
「この時間帯は、お前さんが女とイチャついとる時間だろう?」
「…悪かったなー」
そうだよ、いつもなら今頃はベッドの中で楽しんでらー
今日は気分じゃねーんだよ
井上は近くに置いてあった椅子に座り、机に肘をついた