All Arounder
第17章 Shadow Threaten
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辺り一面に広がる芝生
その上にでかでかと立つ屋敷
斉藤が門の前まで歩いていくと、外で警備をしていた警官たちと目が合った
「斉藤刑事、ご苦労様です」
「ん、ご苦労さん」
扉をくぐり中に入ると、それは豪華な装飾の施してある壁や階段やシャンデリア…
斉藤はどこにも寄り道せず、階段を上ると、誘拐された令嬢の部屋へとまっすぐに向かった
キィィ…と扉を引くと、質素な部屋が目に飛び込んでくる
「…」
部屋の真ん中に立ち、ぐるりと見渡す
…令嬢は、この部屋で誘拐された
時刻は深夜
使用人たちが襲われたという証言から、犯人は一階から堂々と侵入してきた
…ということになっている
斉藤はベッドに手を置いた
シーツはあまり乱れていない…
部屋を見ても、あまり争った跡がないことから
おそらく令嬢は、犯人に脅されでもして同行したと考えていい
ふと上を見てみると、換気扇が目に入った
ここで斉藤は、換気扇の縁に出来た不自然な擦り傷を見逃さなかった
「…あれは…」
部屋にあるタンスや椅子を積み上げると、その上に立ち、さっき見つけた擦り傷をじっくり眺めた
「…」
…柔らかいもの…ロープか何かを擦らせたみてぇだな
斉藤は換気扇の上に手をかけると、排気口の中に上った