All Arounder
第20章 Side By Side
『っ…いや!!』
突然の姫の叫び声に、大志も黒羽も振り返った
「…姫!!」
「お嬢様!!」
姫は、さっき車に座っていた使用人に腕を取られ、銃を突き付けられていた
「お前らいい加減にしろよ…ガキが死んでほしくないなら、そこから動くな」
「…しまったな」
つい殴んのに夢中になっちまった…
大志は手を下ろした
「お嬢様…」
黒羽も仕方なく、その手を下ろす
「すき放題やってくれたな…ただじゃおかねえぞ」
敵は、姫に銃を突き付けている男だけになってしまったが
姫を人質に取られている以上、大志たちは動けなかった
「ガキ…さっさとネックレスを出せ」
『…』
姫は涙を浮かべたまま、顔を横に振った
「言え!!」
『あうっ…!!』
ギリッと腕を締め付けられ、悲痛な声が出る
「お嬢様に触るな!!」
黒羽は握りこぶしを震わせた
「黒羽…なら、このガキにネックレスのことを聞き出せ」
「っ…、お嬢様…ネックレスのことを、早く言ってください…」
『…』
「お嬢様…!!」
しかし姫は、やはり首を横に振るだけだった
「そんなに答えるのが嫌か…、なら死んでも恨みっこなしだな」
チャキッ…と銃が構えられた
「オレが持ってる」