All Arounder
第20章 Side By Side
大志は片っ端から使用人たちを殴っていった
暗くてわかりにくかったが、とめどなく血が飛び散った
『…』
この時の大志は
姫にとっては怖かった
なぜって、大志は笑うからだ
人を傷つけることで、その顔に、笑みを浮かべるからだ…
「お嬢様…」
黒羽は、無意識に震えていた姫の手をギュッと握った
『…?』
「お嬢様は、どこかに隠れていてください」
黒羽はそう伝えると、姫から離れ、近くにいた使用人の腹に一撃を入れた
「ぐふっ…!!
う、裏切るのか…黒羽ぁあ!!」
足元をよろかせながら、使用人は黒羽の胸倉を掴む
「裏切ったのは、そっちでしょう」
バキィッ!!
と、黒羽は容赦なく殴った
「黒羽だ、黒羽を狙え!!」
大志を相手にしていた使用人たちは二手に分かれ、黒羽にも狙いを定めた
「…内輪揉めかよ、おもしれぇじゃねぇか」
大志はニヤリと笑い、その手を休ませることなく殴っていった
『…』
姫はただ、呆然と見ていることしか出来なかった
大志も黒羽も
強かった
何にも臆さず
ただ目の前にいる敵を
次から次へと倒していった…