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All Arounder

第23章 Affection







「…結局家は追い出すのかよ」



「当たりめぇだろ、オレの立場考えろ」









また



沈黙が訪れる






姫はそわそわして、大志と斉藤の顔を交互に見た





すると突然、大志は笑った




『?』




「…わかった、んじゃここで、最初で最後の親孝行してやらぁ」





大志はスクッと立ち上がった







「家、出ていく」






「…そっか」





斉藤は、大志の目を見ることが出来なかった



フローリングの上を、ゆっくりと泳いでいただけで…





「普通に考えたらそうだろ。ムショに入ってジジイになってから外に出られるより、
生涯自由気ままに生きた方が、よっぽど価値がある」





「…そういう考え方も、あるな…」






「ああ。それに、母さんと美空には迷惑掛けたくねぇ」






「…もっともだ」





大志は俯く斉藤を見下ろし、呟くように言った









「…じゃあな」









そのまま歩き、リビングを出て行った






『…』





姫も軽く頭を下げると、同じように出て行った
















それと入れ替わるように、ゆうひが入ってきた





「…斉藤」





「…」





ゆうひはゆっくり、斉藤の隣に腰を下ろした







「…ごめんね…話、立ち聞きしちゃった」




「…知ってた」





顔を上げない斉藤の頭を、ゆうひは優しく撫でた





「…泣かないの?」





「…ゆうひは…?」





ゆうひはニコリと笑い、斉藤の頭をポンポンと叩くと、何も言わずにリビングを出た











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