All Arounder
第24章 Parasite
しかし、走るごとに、追いかけるごとに
大志と井上のぶつかり合う回数は減っていった
「…」
大志は井上の目を見た
…これは…いける
お互いコクッと頷くと、一気に姫を壁際に追い詰めた
『あれ、あれ?』
姫は右に左に体を動かしたが、大志と井上の見事な連携プレーで姫はそこから抜け出せなかった
そしてとうとう、大志は姫の腕を掴んだ
『ありゃ』
「やっと捕まえた…ったく、ふざけやがって」
姫は残念そうな顔をし、渋々鍵を渡した
鍵を受け取り手錠を外すと、二人はうんと伸びをした
「さて」
『?』
井上は自由になった両手で、姫の肩を掴んだ
「おいたが過ぎましたねー姫ちゃん。倍返しにして遊んでやるから…」
井上の唇が姫の唇に近づく
「…覚悟しろよ?」
『えっ、ちょっと…///』
ドカァッ!!
と、大志の蹴りが井上の横腹にクリーンヒットした
「馬鹿か、そうじゃねぇだろ」
倒れ伏す井上をよそに、大志は姫の目を見た
「…こいつのことで心配になんのは仕方ねぇけど…
安心しろよ、オレが守ってやっから」
『…///』
姫は視線を大志から逸らした
照れてしまって、顔を見るなんて出来ない
『…うん、ありがと///』
伝えられることは伝えておかないと…
と、それだけを大志に言った