All Arounder
第24章 Parasite
数分後…
『出来たー』
姫は、料理を盛りつけた皿などをテーブルに並べていった
「…ん?」
「…姫ちゃん、これはスープか?」
井上は皿を指差しながら姫の顔を見た
『ううん、ブリの照り焼き。大志のお母さんが作ってたのを見て作ったんだよ』
「…ブリ?」
「…ブリの原形が…どこにもございませんが…」
『あ、なんかモロモロになって崩れちゃったの』
大志と井上は皿の中を覗き込んだ
言われてみれば、なみなみと入ったタレの中に、
ところどころ白身が浮いている
「あ…はい、ブリありました…」
『よし、じゃあ食べよっか』
姫も椅子に座り、手を合わせる
いただきます
と軽く挨拶し、姫はじっと二人を見た
「…?」
『早く食べて、感想聞かせて』
「え…井上、先に食えよ」
「大志が先だろー」
「…じゃあ…せーので」
「了解、せー…のっ」
パクリ
ま
ず
い
『ねえ、どうどう?』
期待の眼差しを向けてくる姫に、何とか笑顔を作ってやりたいが
こっちの口の中は戦争状態だ
笑ってる余裕などない
「ぅ…ま…ぃょ」
「こんな…ぅまい料理…はじ…め…うゔっ隊長、俺死地へ向かいますぅ!!」
井上は洗面所へ駆け出した
「待て井上!!
オレも行く…!!」
バタバタと大志も出て行ったので、姫はブリの照り焼きをつまんだ
『…うーん…美味しいのかなぁ?
まぁいっか』
姫はご機嫌で夕食を取った