All Arounder
第4章 A Detective’s Son
「がはっ…」
男は顔面から倒れた
井上が撃った弾は、男の首もとに見事命中したのだ
「お、さすが」
大志はパチパチと手を叩いた
「あったりめーだろ」
「どさくさに紛れて持ってくな」
「いでっ」
井上はブラを持った左手をピシャリとシバかれた
――――――――――
下着泥棒を交番に突き出し、依頼人から報酬をもらって
その帰り道…
「大志、何で犯人がわかったんだ?」
「塀の上に三ヶ所、苔が剥がれてるところがあったろ?」
「え?ああ」
「両側は手を、真ん中は足を塀に掛けて上ってたから
あんな風に苔が剥がれてたんだ」
井上の顔を見るでもなく、大志はボーッとしたまま話した
「それで?」
「その足を掛ける部分に、画鋲を置いといた。
発信器付きのな」
「あ、なるほどな」
靴に画鋲さえ刺されば、
あとは犯人と一緒に発信器が移動する
それだけで、場所が特定できるってわけか…
「やるなー!!」
井上は大志の背中をバンバン叩いた
「いって!!
やめろハゲ!!」
「ハゲてねーよ、チビ助!!」
「チビじゃねぇよ!!180はあるわ!!」
やたらとムキになる大志を見て、井上は微小した
「あ?」
「いーや、何もねーよ」