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「お久しぶりですね、お嬢様」


黒羽はニコッと笑うと、姫の手を取り片膝をついた



そしてその手にチュッとキスを落とす




『えぇえ…!!?///』




困惑する姫は後ろに引っ張られ、代わりに大志が前に出た




「またてめぇか、クロ。
会って早々ナメた真似すんじゃねぇよ」




黒羽はスクッと立ち上がり、大志と睨み合った




「これはこれは。
いつの日かの獰猛なお猿さんではありませんか」




「誰が猿だ!!下っ端の分際で!!」




「おっと、うっかり怒らせてしまうところでした。
引っ掻かれては堪りませんし…」



「てめぇ屋敷の犬のくせに…マジで引っ掻いてやろうか」




二人の言い争いをはたで見ていた井上は、姫に尋ねた




「こいつ誰？」



『えっと…家で働いてた使用人の一人で…』



すると黒羽はクルッと井上の方へ向き直った




「申し遅れました、俺は
黒羽隆司(ｸﾛﾊ ﾘｭｳｼﾞ)といいます」



『（下の名前初めて知った…!!）』




「俺は井上退斗だ、どーぞよろしく…」



と井上が手を差し延べたが、黒羽はそれを払いのけた



「あ？何すんだてめー…」



「あなたは何だか…遊び散らしていそうだ」



大正解…!!




「ではお嬢様」



黒羽は姫の持っていた買い物カゴを受け取った



「買い物の続きに参りましょう」



『え…あ、うん』











井上は大志に言った


「…俺、あいつ嫌いだ」



「同感」