All Arounder
第28章 My Little Girl
「しかし…そうとなってはいけませんね」
黒羽は姫の顎をクイッと持ち上げ、囁くように言った
「私が消毒してさしあげましょう」
『ちょちょちょい待って…!!?///』
「姫ちゃんにキスしていいのは俺だけなんだよ!!」
井上は黒羽の肩を掴んだ
「そのようなこと、いつどこで誰が決めたんですか?」
「ついさっき、ここで、俺が決めたんだ!!」
「ガキみてぇなこと言ってんじゃねぇよ!!」
ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー…
『…』
ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー…
『…』
ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー…
う
る
さ
い
『いい加減にしろ!!!!!!』
ピタッと、騒ぎがやんだ
姫がここまで怒鳴ったのは初めてで、皆驚きを隠せない
『それ以上喧嘩したら、怒るよ』
もう顔が怒っている…
久々に見る姫の無表情は、憤怒のオーラをまとっていた
「姫ちゃん、だってこいつが…」
『うるさい』
「…」
『これからは、そういうことしないでね』
「…もし、したら?」
恐る恐る聞くと、姫はフッと笑った
『それは自分で考えなされ。
あたし、もうちょっと寝てくるから』
「…おやすみなさい…」
姫は寝室の扉を開け、こっちを一瞥した
『邪魔、しないでね』
パタン…