All Arounder
第29章 I Will Wait Till You Come
座敷の部屋を、庭から心地好い風が吹き抜けた
「―――久しぶりだね、元気にしてた?」
「ああ、まーな。
お前は?」
「見ての通り、元気だよ」
静かな部屋からは、二人の男の声だけが聞こえる
しかし声は響くことはなく、床や壁や空気に一瞬で吸い込まれるようだった
「今日はまた…どうして突然来てくれたの?」
「ちょっと…頼み事があってな」
「君のことだし、きっとろくな話じゃないんだろうね」
ゆっくり畳に腰を下ろし、話を聞くことにした