All Arounder
第29章 I Will Wait Till You Come
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「…」
静かに扉が開くと、眠っている姫の手元に何かがそっと置かれた
「お嬢様」
『ん…』
眠たい目を擦りながら見ると、黒羽がいた
『…まだ、夜中だよ…』
もう一度眠りにつこうとした時、手元の何かに気づいた
『?
…あ、これ…』
眠気も一気に覚めてしまった
手の中にあったものは、ネックレスだったのだ
『黒羽…これ…』
「ええ。大志が投げて無くした、お嬢様のネックレスでございます」
財産の30億を引き出すための番号が刻まれた、
父親の形見でもあるネックレス
『…探してくれたの?』
「無くされた夜に、野原を駆け回りました」
黒羽はニコリと微笑むと、姫の手を引いた
『…、どこ行くの?』
「屋敷に…戻りましょう」
!?
『な、何でこんないきなり…?あたしは…嫌だよ』
「お嬢様…やはりこの場はあなたにはダメです
そのうち、体調に差し支えが出ます」
『あの屋敷にいた方が、気がおかしくなりそうなの…!!』
姫はバッと手を払った
「それは、外に出ることを許されないからですか?」
『…』
「よくお考え下さい、もう社長はお亡くなりになりました。
お嬢様を縛るものは、何もないのですよ?」
また強引に、腕を引っ張られた