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All Arounder

第30章 Man And Wife





「黒羽…さん、すんません、どうぞ座って下さい…」




「いえ、結構です」




斉藤が椅子を出そうとすると、黒羽は首を振った




「話はすぐに済みますので」



「…令嬢さんの件っすよね…」



「ええ」






…さぁどうする…



刑事の息子が誘拐犯で、よりによってその息子が誘拐した人間が令嬢…


しかもオレはそんな二人を故意に逃がしちまった








「お嬢様の捜索の件ですが…もう結構です」










「…へ?」





「ということで刑事さん、長い間すいませんでした」




黒羽はペコッと頭を下げ、部屋を出ていこうとした





「まっ…待て待て待て」




「はい?」




「な…何でこんな急に…令嬢さんはいいんすか!?」





「そう言ったつもりでしたが…いけませんか?」





「え…いや…」






こりゃあ…



ラッキーだ






「あ、そうそう…」




黒羽は思い出したように振り返った





「刑事さんに似た男に…出会いましたよ、そりゃもうたくさん殴られました」




「!!?」





斉藤は黒羽の腕を掴もうとしたが
黒羽はさっさと出ていってしまった





「…」




今の使用人…



大志や姫ちゃんと接触してたのか…?






「ははは…」





そうかい



大志なら、誰が相手でも殴りにかかんだろうな













…元気そうなら




よかった…














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