All Arounder
第37章 Suggestion
「そういやぁ、小泉さんは井上とどこで知り合ったんすか?」
「え?あー…あれは確か…」
と言いかけた丁度その時、井上がトイレから帰ってきた
「あれは俺が15の時だったかなー」
井上はドカッと腰を下ろした
「All Arounderを始めて、三度目の依頼が小泉だったんだ」
「そうそう、懐かしいね。俺がとりあえず人手を探してる時だったっけ?」
井上も小泉も、少し嬉しそうに話し出した
「大志は、"刑事・警察課襲撃事件"って知ってるか?」
「…親父に聞いたことある…、あの事件は死んでも忘れないってさ」
理由までは教えてくんなかったけど…
「そりゃー斉藤にとったら印象深い事件だったろうね。
ゆうひちゃんが死にかけたんだもん」
「は!!?」
大志は身を乗り出すようにして小泉の方を向いた
「知らなかった?
斉藤は大志に何にも伝えてなかったんだねー」
「とりあえず、俺と小泉が初めて出会ったのはその事件がきっかけだった」
井上は、足に頬杖をつきながら
その時の様子を語ってくれた―――――
カランカラン
「All Arounderって、何でもしてくれるんだよね?」
井上が椅子を回して振り向くと、扉の前にひとりの男が立っていた
「いらっしゃい、用件、お伺いしますよ」