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井上は男を部屋へ案内し、椅子を出した



「まずは…名前でも言った方がいいのかな？」



「どちらでも」



井上が答えると、男は気味悪い笑みを浮かべた



「小泉って言うんだ、どうぞよろしく」




「小泉…さん。俺は井上って言います」




軽く挨拶を交わし、小泉は話を出してきた





「依頼内容なんだけど…率直に言うなら、井上君には人質を取って立て篭もってもらいたいんだ」




「…All Arounderっすから…どんな依頼でも引き受けますよ」



井上があっさりと承知すると、小泉は嬉しそうに笑った




「ありがと、助かるよ」



「ただし…一つ言わせてもらうと、俺は人殺しはしない。それでもいいっすか？」




「結構だよ」





満足げに頷くと、小泉は後ろへもたれ

報酬の話へと切り替わった





「前払いか後払いなら、どっちがいい？」



「いくらで？」



「前払いなら、払える金額は知れている。けど後払いなら…上手くいけば５０００万は払うよ」



それには井上も、目の色が変わった




「後払いで」




「交渉成立だね」















依頼内容は、

ある決められた日に、ある決められた人物を誘拐し、人質とすること


そして指示があるまで、ある決められた建物に立て篭もる



人質は殺さなくてもいいが、しっかり"振り"だけはすること



警察が来ても、動じず…ただ身の危険を感じたなら、潔く逃げてもいいものとする