All Arounder
第6章 Expressionless Princess
「井上、ロープ」
大志がそう言うと、井上は天井裏からロープを垂らした
「上れっか?」
井上はニヤニヤしながら二人を見下ろした
「余裕だっつの」
大志は、姫の腕を自分の肩に掴ませた
「離すんじゃねぇぞ」
『…』
姫は黙ったまま、大志の体にしがみついた
大志は右手はロープを、左手は姫を抱えた
「上げてくれ」
「はいはい」
井上は手にしていた小さなリモコンを操作した
それと同時に、大志と姫の体はゆっくりと宙に浮きはじめる
このロープは、外に置いてある遠隔操作可能な車に繋いである
その車を動かし、ロープを大志たちごと引っ張り上げる…という仕組みだ
「…///」
この女、いい匂いすんだな…
マジもったいねぇ
『あたしは、どうなるの?』
誰に話し掛けているのかわからないほど…
まるで独り言のように呟いた
「…さぁな」
もしこのままいけば…殺される
良くて監禁とかだろうな…
天井まで上がると、最後は井上が引っ張り上げた
「はい、大志お疲れさん
で、あんたが西浦姫…」
井上は言葉に詰まった
暗がりでもよくわかったのだ
姫が予想以上に美人だったと…